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2011年5月 6日 (金)

6-dim+って?

6-dim+とは一体何なのか?


自身で主宰をしていながらはっきりと言葉にできていない。「即興で芝居をします」ということなのだけど、そんなこと言ったって即興芝居を知らない人にはちんぷんかんぷんである。例えもし分かったとしても、それがじゃあ他のお笑いなりお芝居と何が違うのか?あるいはそれよりも面白くて価値があるものなのか?


言葉を使って説明をする。何年も前からしっかりと伝わらないでいる。実際に来て観て体感してもらえればすぐ分かる。そして面白いものだという自負がある。


だけど、「見に来たらわかるよ」「じゃあ行ってみます」となるのは本当に稀。
たくさんの娯楽がある中、皆が貴重な時間とお金を割いてわざわざ足を運ぶというのはそうとうな敷居の高さだと思う。

その敷居の高さを下げたり、飛び越えたりするために言葉を使って伝えるというのは避けては通れない道である。

だからチャレンジしてみようと思う。

そう思ったのは、もしかしたらロクディムの面白さを理解するのに役立つかもしれないと思うエピソードがあるからだ。

去年の末。クリスマスの時期。某ジュエリー会社から「ディナーショーで即興パフォーマンスをしてもらえないか?」というオファーをいただいた。

横浜にある、結婚式でも使われるホテルで、懇意にしてもらっているお客さんに感謝の気持ちを込めて披かれたディナーパーティ。

40人くらい集まるこのパーティのほとんどがご年配の女性である。

6-dim+として色んなところにいってパフォーマンスをしているけれど、この年齢の方々の前でやるのは初でした。

約30分間のライブ。本番ギリギリまで何が一番良い流れかを見つめる。だいたいの枠を決めたら後は本番で選択していく。場合によっては全然変えたりする。その時、その瞬間、一番合うものを出せるのも、即興ならではだと思う。

向こうの願いで「ペーパーズ」はやってほしいとのことだった。


ペーパーズとは、ライブの前にお客さんに小さい紙を渡して、そこに一言セリフを書いてもらう。その台詞が書かれた紙を床やテーブルにばらまく。その中で、即興で芝居をしていくのだけど、途中で演じているプレイヤーが突然紙を拾い上げて書かれているセリフを自分のセリフとして読みあげる。当然関係ないことが書かれていたりするのでそれを正当化しながら物語を作っていくといったゲーム。


お客さんに渡す紙は4種類あって、それぞれ質問が書かれている。
1、大切な人に伝えたい「ひと言」
2、先輩や上司に伝えたい「ひと言」
3、失恋した友人にたいして言いたい「ひと言」
4、身近な人に言いたい「ひと言」

好きなものを選んで書いてもらう。

本番前、皆が歓談をしている中、各テーブルを回って書いてもらった。

「失恋なんてしたことないわよ~」
「違うわよ。あんたじゃなくて、友達が」
「え~でもあたしはしたことないわよ~」
「違うわよー友達が失恋したらよー」

皆さん、かなり楽しみながらも真剣に考えて書いてもらいました。

そして本番。

オープニング曲とともに、素舞台にあがっていく。本日のメンバーは渡猛、カタヨセヒロシ、小田篤史の三人。

自己紹介や今回呼ばれたいきさつなど話す。お客さんもしっかりうなずきながら聞いてくれている。


即興ゲームをいくつかやりながら、じょじょに会場が温まっていく。

そして今回のメイン「ペーパーズ」が始まる。


タイトルはジェエリーというキーワードから「記念日」となった。

「3、2、1」というカウントダウン。そして開始の「ピッ」という笛の音。


小田篤史が舞台中央で料理をしている芝居を始める。
「さぁ、これでよしっと。あの人が大好きなカレー」

このセリフで小田篤史が奥さんで、記念日の日に旦那の大好きなカレーを作っていることが分かる。

渡猛が旦那で入る。

渡「今日は記念日だからね。ジェエリーを買ってきたんだ」

小田「まぁ嬉しい」

そんなやり取りをしていく中、小田篤史が床に落ちているペーパーを拾い上げた。

紙を広げて中のセリフを読みあげる。

小田「。。。。。」

小田篤史が読みあげない。どうしたのか?読めない漢字があるのだろうか?下ネタが?いや、この場所に限ってそんなはずはない。

しばしためらったあと、小田篤史が読みあげた。



貴方がいなくなって14年
私も友達にささえられて
毎日楽しく明るく頑張っています
貴方はあの世で元気にして、時々、私の事、思い出していますか




眼の前に旦那がいるというシチュエーションなのにという可笑しさと、このセリフがこの会場にいる人の本当の声だという事実に、笑い声のなかにも静かな雰囲気が生まれる。物語の興味が深まる。

すぐさま渡は、自分がすでにあの世にいるということ。でも、家族が気になっているし、奥さんもずっと気にしてるから、なんとか神様にお願いをして、年に一度だけ記念日に蘇ってきている設定にする。

そして、こう続けた。

渡「でもね、もう今日が最後なんだ」

小田「え?どうして?」

渡「もういい。もう充分だ。それにお前が私のことを気にするばっかりでちっともお前の人生が前に進んでいないじゃないか」

小田「あなた。。」

渡「もういいんだ。ありがとう。あの世で待っているよ」

小田「嫌よ!いや!」

そこで渡がまた床に落ちている紙を拾い上げ読む。


泣くだけ泣いたら次にいきなさい!


あまりにもぴったりのセリフに会場は大盛り上がり。

そして旦那はあの世へいき。奥さんは息子と一緒に人生を家族を前に進めることにする。といった話になった。

ショーが終わってステージから降りたらすぐに1人の奥さまが僕らのところに駆け寄ってきた。

「ありがとう。あの14年前のって書いたの私なんです。すっごく楽しかった。嬉しかった。きっと」

奥さまは人差し指を天に向けた

「あっちであの人も喜んでいると思います。本当にありがとう」


長いこと即興をやっているが、きっと一生忘れないセリフ。こんな素敵な言葉があるだろうか。

後で聞いた話だが、今日来ていた方々の何人かは旦那さんがすでに他界しているようで、あのシーンを見ながら泣いていたそうだ。

パーティの最後、女社長さんが皆さんにお礼の言葉を述べた。
「ロクディムさんのパフォーマンスに感動しました。私は普段あまり気持ちを言葉にしないのですが、今日は皆さんの『大切な人への言葉』を聞いたので、私もひと言。私の大切な人はお客様です。私はお客様のことを家族だと思っているし、たくさんのことをお客様からいただいております。本当に今日は来てくださってありがとうございます」

っと、涙を流して仰っていた。

パーティは大成功。6-dim+にとって大事なイベントになりました。

もし、最初から感動させようとか考えていたらきっとうまくはいかなかった。
真摯に物語を作ろうと一瞬一瞬共演者と協力し、そして、その日の会場やお客さんの雰囲気、お客さんが書いてくれた紙をしっかりと使って正当化するからこその結果でした。
自分たちだけじゃなく皆で作りあげた一生に一度しかできない体験できない瞬間ライブ。

それはギャグではできなくて、作られた作品じゃできないもの。

これは一つの例だけれど、根本はそういうことだと思う。

ペーパーズは非常に分かりやすい装置だけど、基本は全て同じである。
その時の会場、音、照明、人、その雰囲気全てに影響させあいながら、作っていくライブ。誰もがどうなるか分からない、どんなライブになるのか?それを皆で楽しみにしながら、皆でつくっていくライブ。

それが6-dim+のやる即興エンターテイメントライブです。

僕はとてもそれが好きだし、価値があると思っています。そしてそれをもっと多くの人に見てもらいたいし、体験してほしいと願っています。

そして、これ面白いね!って言う人が増えたら僕は嬉しい。

3月11日以降、日本は未曽有の危機にさらされています。

僕たちがやっていることの無力さを全く感じないと言えばウソになります。
でも、6-dim+は地震の翌日、3月12日にライブをやりました。

ステージも照明もないカフェで。畳一畳半くらいのスペースでやりました。

やるかどうかすら悩むような状態でしたが、お店のオーナー夫婦が「こういう時だからこそ笑いをプレゼントしてほしい」

という思いからやることにしました。

誰もこないかもしれないと思いましたが、開場と同時に人が集まりあっという間に満席に。

その中で、さきほどのペーパーズもやりながら、小一時間の即興ライブを行いました。

終演後、1人の女性が「夜になるにつれて街が停電ということもあり暗くなって、1人暮らししているのもあって、どんどん寂しくなって怖くなって。。。ここにきて良かった。笑ってる時は地震のことも忘れられました。ありがとう

という言葉をいただきました。

ジュエリーのパーティの時もそうだけど、僕達も、こういう皆の言葉でかなりの元気を貰っています。

そして僕達のやっていることを、1人でも多くの人に、観て知って体験してもらえるように、今出来ることをやっていくべきだと思っています。

電気も使わなくて良い。セットもいらない。かしこまらず食べたり飲んだりできる。そして、今一緒にいる人たちとダイレクトに話したり、そこから生まれるものを使ったりして、笑いあい、時に感動する。

そんなエンターテイメントをもっと広げたい。知ってほしい。それはきっと皆のプラスになると思うから。

ロクディムは、渡猛は、そういう思いで、活動しています。

どうでしょうか?文字で少しでも伝わったら嬉しいです。

そしてここまで読んでいただいた皆さんに感謝です。

もしよければ感想などいただけたら嬉しいですっ。




他に6-dim+のfacebook website もあるので良かったら見てみてください。写真や動画が見れます。


あらためてですが、今後ともどうぞよろしくですーっ。


ほなー。


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